|
京都の春と秋の穏やかさは、その夏と冬の厳しさがあってのことです。年中行事も、暮らしも料理屋さんの料理も、それについてまわります。それがうまくまわらないと京都そのものがうまく回らないのです。
仕来りやの何のと人為的にいいますけれど、結局は、京都はその自然の運行にうまいことのせてもらわないことには、何事もうまく仕上がらないのです。。
そんな中から今回は料理、その材料、あるいはその過程にプロが語るところの名称を列挙してみたいと思います。目で見る一つの仕来り、約束事ではございます。
*潮仕立(うしおしたて)〜漁師が海辺で、魚のあらでおつゆをつくるように、鮮度のよい鯛の頭など、脂のきついのは避けて、塩加減と昆布だけで出汁をとること。蛤の吸い物などのために使う。
*雲丹焼(うにやき)〜とげのままの雲丹を焼く場合と、雲丹に玉子の黄身を入れ、魚にのせて焼く場合がある。
*旨煮(うまに)〜そのものをよく知って、季節に合わせて煮る。炊きたてをたべてもらう。
*懐石うつし〜固定した形式から、何品かとる。そのようにすることをいう。
*風干(かざぼし)〜鮮度のよい魚を塩水に10分くらい漬けてから、日光に当てないで、風に干す。塩の多い少ないが出来なくてよい。焼いたときくずれない。
*唐蒸(からむし)〜油で揚げて蒸す。鯉の丸揚げなど。唐という字は中国からの渡来を意味する。
*砧巻(きぬたまき)〜砧の上に槌で打ってやわらげ、艶を出す、美しい白い布のように、かぶらでサーモンの素材を巻いたもの。人を待ちながら打つ砧の音とか、遠く聞くその音はさみしいもの、そういう風情をこの料理はあらわす。
*葛たたき〜折りたたんだ紙に葛を入れて、材料をはさんで、れんげで軽くたたく。
*五味五法(ごみごほう)〜京料理の五つの味、五つの料理法の意で、いろいろの味、いろいろの料理法をいう。
*酒煎(さかいり)〜魚介類や鶏肉など、白焼きにしてから、酒で煎る。
*神馬草(じんばそう)〜乾物と生がある。海草のほんだわらのこと。吸い物、つくりのあしらい。
*千代呂木(ちよろぎ)〜ちょろぎともいう。巻貝の形をした中国原産の紫蘇科の多年草の地下茎。塩漬けや酢漬けにすることが多い。
*箸休め〜あっさりした、おそばやそうめん等。
*ちり蒸し〜ちりはちぢむの意がある。さっとお湯を見せる程度にお湯を通すが、鮮度が高くないとちぢまない。
*七草粥(ななくさかゆ)〜七草は、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの七種の春の草をいう。一月七日にその七草を入れて炊くかゆのこと。
*ぬた和え〜ぬたは田植えのときの水田、ぬまたの意。味噌を主体に、赤貝などの貝類を入れる。
*八方煮(はっぽうに)〜濃いめの出汁をとって、醤油はひかえる。八方向きした地で煮るもの。
*雪持ちいくら〜鮭の子を酒にさっと通して、玉子の白身を淡雪にしてかけるなど、雪を置く風情を示す。
*蝋焼き、青蝋焼き〜蝋焼きの場合は、玉子の黄身を塗って焼く。青蝋焼きは青菜とかよせ菜をすって、白身を塗って焼く。鱧、海老が多い。
以上は、板前新三さんから、田中が聞き書きしたものです。来月もつづきを書かせていただくつもりです。
|